「塩」の役割とは
美味しさを作り出す基本の調味料「塩」は、素材に「塩味」をつけるだけでなく、時には調理器具並みに素材に働きかけ、プラスの効果を発揮します。
甘味や旨味を引き立てます
スイカに塩をかけたり、ぜんざいに塩を少し加えることで、より甘味が感じられるように、塩には食材の甘みを引き立てる効果があります。また、お出汁に塩を加えることで旨味をより感じられるように、食材の旨味を引き出す働きもあります。
【対比効果(甘味+塩味)】
甘味や塩味など味覚を刺激する2種の味があるとき、
片方の味でもう一方の味を強めるように変える作用のこと。
脱水効果があります
食材に塩をふっておくと浸透圧によって水分が出てきます。例えば、きゅうりの酢の物を作る時には、先にきゅうりに塩をふりしんなりとさせてから味付けをするかと思います。これは、下ごしらえで食材の水分を抜いておくことで、味付けの調味料が馴染みやすくなるためです。また、味付けをした時に食材から水分が出て味が薄くなるのを防ぐ役割もあります。
臭みをとる効果があります
肉や魚に塩をふってしばらくおくことで、浸透圧の働きで水分と一緒に臭みの成分が出てきます。この臭みの水分を拭き取ってから調理することで、美味しく食べることができます。
変色を防ぎます
切ったりんごを放置しておくと茶色く変色してしまいますが、これはりんごに含まれているポリフェノールが酸化してしまうことが原因です。りんごを塩水につけておくと変色を防ぐことができるのは、塩に酸化を防ぐ働きがあるためです。また、ほうれん草などの青菜やブロッコリーなどは、塩ゆでにすることで鮮やかな緑色を保つことができます。
保存性を高めます
梅干しが長期保存可能な理由のひとつは塩を使用しているからです。塩には食材の水分を脱水する効果に加えて、水分を抱え込む性質もあり微生物の繁殖を抑えることができます。梅干し以外にも漬物や味噌、しょうゆなどさまざまな保存食に防腐効果の高い塩が使用されています。
「塩」の特徴とは
料理に欠かせない「塩」は、焼いたお肉も生野菜も、塩をひとふりするだけでグンと美味しさが増し、たくさん食べられるようになります。塩がなければ煮物も焼き物も、多くの料理が間の抜けた味わいになってしまうこともあるでしょう。
「おいしさを司るのは塩」と言っても過言ではありません。
身体に必要だからこそ塩はおいしい
調理における塩の役割を考えたとき、最も重要なのは「塩味を付けること」です。塩(塩化ナトリウム)は、身体の体液濃度を保つために人間にとって欠かせないもので、同じ味わいの代替品はありません。汗をたっぷりかいたスポーツの後に塩を欲するように、身体は自然と塩を必要としています。
加減次第で素材の特徴が生きる
塩そのものがおいしいだけでなく、塩には素材をおいしくしたり、素材が持つ特徴を生かしたりする力が備わっています。料理を基本の味付けで仕上げたところにプラスαをすることで、味付けを強調したり、風味をプラスしたり、味わいにアクセントをつけることなどもできます。
つまり、「塩は素材のまとめ役」ともいえるのです。