一般に「脳の老化は40代後半から始まる」と言われています。実際に、うっかりミスが多くなったり、もの忘れを自覚するのはそれくらいの年齢が多いようです。認知症の発症リスクを抑えるなら、早いうちから対策をとっておくのがいいでしょう。
アルツハイマー型認知症の発症原因となる物質は、発症のおよそ20年前から蓄積し始めるとされています。ですから70歳で発症した場合は、50歳から発症原因の物質がたまり始める計算になります。
認知症は持病や生活習慣によっても発症リスクが高まることから、40代後半で認知症予防をはじめても決して早すぎることはありません。
「物忘れ=認知症」ではありません!
物忘れが増えてくると、認知症ではないかと不安になる人が多いようですが、物忘れは正常な脳の老化でも現れます。年を重ねると筋肉量が落ちるように、脳の機能も落ちていきます。加齢とともに物忘れが増えるのは、ある程度仕方のないことです。
ところが、認知症の物忘れには、正常範囲の物忘れとは異なる大きな特徴があります。それは、何かをしたこと自体が、記憶から抜けてしまうことです。例えば、「朝食に何を食べたか」を聞いたとき、食べたものは忘れていても、『食べたこと自体は覚えている』。これが正常範囲の物忘れです。
しかし、認知症になると、食べたこと自体も忘れてしまうのです。1週間前に行った旅行や、誰かと交わした約束なども、「行ったこと」自体を忘れてしまったりします。ほかに、今までできていた家事ができなくなったり、好きだった趣味にも興味を示さなくなるなどの症状が出ることもあります。
それ、もしかしたら認知症かも?
下記のような症状があったら認知症になりかけているかもしれません。チェックしてみましょう。
□ 忘れっぽくなってきた(忘れたこと自体も忘れている)
□ 今までできていた家事が、うまくできなくなった
□ 趣味に興味を全く示さなくなった
□ 暴力を振うようになった
□ 物を盗まれたなどと思うことがある(実際は違うと周囲に指摘される)
□ 他の人には見えないものが見えることがある(特に夜間)
□ 同じ話をしつこく繰り返すことがある
自分でこれらの変化を感じた際はもちろん、周囲の人に指摘された場合、また、夫(妻)や親などにこうした症状が見られた場合も、早めに専門医受診することをおすすめします。
認知症予防6選
まずは、認知症予防に効果的な取り組みをご紹介します。
ポイントは「人とのかかわり」「運動」「食事」です。実践できそうなものから試してみてください!
外に出る機会を増やす
歳を重ねるにつれ、つい外出が億劫になりがちですが、自宅にこもりきりになってしまうのは健康的ではありません。運動不足になりやすいだけでなく、生活に刺激がないことから、認知症の発症リスクが高くなります。
近所を散歩したりコンビニで買い物をするだけでもOKです。特別なにかをする必要はありません。
生活習慣病を予防・持病を治療する
糖尿病や高血圧症などの生活習慣病は、認知症を引き起こす原因の一つと考えられています。そのため、生活習慣病にならない生活を送ること、生活習慣病を治療することが認知症予防になります。
人と話す機会を増やす
会話は脳と口を動かすトレーニングでもありますから、誰とも会話をしないと認知機能が低下する恐れがあります。
近所の人との挨拶やスーパーの店員さんとの簡単なやり取りでも大丈夫。会話の長さや内容の深さよりも「直接会話したかどうか」が重要です。
聴力低下の確認と対策をする
誰でも歳をとると、耳が聞こえにくくなります。しかし聴力低下を放置すると、認知症リスクが高まり危険です。理由は、脳に入る情報が少なくなり、神経細胞の活動が衰えるからです。
この聴力低下による認知症リスクは、補聴器をつけることで回避ができます。耳が聞こえにくいと感じた場合は、まず耳鼻科で検査を受けてみましょう。
栄養バランスの良い食事
栄養バランスの良い食事は、認知症だけでなく生活習慣病予防にも効果的です。
緑茶やワイン、ココナッツオイルなど、特定の食物が認知症の予防によいといわれることがあります。そうした情報に気を配り、それらの食物を取り入れてみるのもの良いでしょう。ただし、過剰に摂り続けたり、偏った食事は結果として体調に意図しない影響をもたらすこともあるため注意しましょう。
喫煙とお酒の飲みすぎはNG
認知症の発症リスクを高めてしまう生活習慣は、喫煙とお酒の飲みすぎです。喫煙者は非喫煙者よりも、1.5~2倍も認知機能が低下しやすいだけでなく、生活習慣病やうつ病のリスクも高めます。いつまでも健康でいるためにも、喫煙とお酒の飲み過ぎには気をつけましょう。
まとめ
しかし、「これはしてはいけない」「あれもやらなければ」と考えると誰だって憂鬱になります。ストレスがたまると、そのストレスが認知症リスクを高めてしまい本末転倒です。ご紹介したものを完璧に実践できなくても、できることから始めてみましょう。